今年もボジョレーヌーボー皆様は飲まれましたか? ボジョレー地区はことしも天候に恵まれ美味しいワインがたくさんできました。 私も何本かのボジョレー ヌーヴォーを試飲しましたが全体的に甘味が、あり酸味も適度に載っていて、バランスの取れた味わいでいした。------------------- ヴィラージュって? ------------------- 英語では「ビレッジ」つまり「村」という意味ですが、ボジョレー地区を含むブルゴーニュ地方では、村名ワインの上のランクとして「ヴィラージュ」の呼称が使われています。 つまり ボジョレーヴィラージュとラベルに書かれているワインは通常のボジョレーよりワンクラス上のワインと言う事ができます。 これは地区の中でも優良な畑で採れたブドウを使っていることを表します。ボジョレー地区の他ではマコン地区などでよく使われています。 ----------------- プリムールって? ----------------- これは、新酒という意味でヌーボーと同じ意味です。 しかし、同じ「プリムール」という言葉も場所が違うと少し違う意味になります。 ボルドーでこれを使うときは先物買いということで、まだ樽に入っているような新酒に先にお金を払って予想される市場価格より安く買うことができますが、出荷前にお金を払うのでリスキーでもあるというものです。
-------------------------- なんで新酒でも美味しいの? -------------------------- 通常の醸造方法で赤ワインを醸造する場合、醸造したてのワインは荒々し くてお世辞にも美味しいと言えるものではありません。
これは赤ワインに特有の渋味成分、タンニンの為です。 タンニン分と一口に言ってもその質にはいろいろあります。 それはタンニンの分子の大きさに原因があります。 分子の大きなタンニンは荒々しい感じを口の中に強く残します。 しかしこうした、荒いタンニンはワインの中で安定していないので、早くに澱などになって分離してしまい、最後にはきめ細かいタンニンが残って美味しいワインに熟成します。 したがって、このような荒いタンニンの割合が多いワインの場合、例え最初はしっかりしたタンニンをもっていたとしても数年のうちにすっかりタンニンが抜け落ちてしまうことになります。 つまり長く熟成に耐えるワインとはタンニンの量ではなく、質が重要なポイントなのです。 タンニンの質を決定するのは、もちろんその年の天候も重要ですが、タンニンの抽出(マセラシオン)の時間や温度でも変します。 さてそれでは、熟成する暇のないヌーヴォーの場合、どうするか? ------------------------------- ボジョレー ヌーヴォーの醸造方法 ------------------------------- ボジョレー地方を初めとする新酒を出荷する地方でよく行われているのが、マセラシオン・カルボニックという方法です。 マセラシオンとは「醸し」という意味「カルボニック」は炭酸を意味し、日本語では「炭酸ガス浸漬法」と呼ばれています。 この醸造方法について少し書いてみます。 まず、収穫した葡萄を破砕せずに、縦型のタンクに入れます。 すると下の方の葡萄は上の葡萄の重みで潰れ、果皮に付着していた酵母の働きで発酵を開始します。 発酵を開始した酵母はアルコールとそして、炭酸ガスを発生しますので、やがてタンクの中は炭酸ガスで満たされます。 すると上の方の潰れていない葡萄は、果実の中にある酵素の働きで、リンゴ酸が分解され、アルコール、アミノ酸、コハク酸等が生成されます。 こうして、果実の中にある酵素を利用するのがこのマセラシオン・カルボニックです。 この醸造法の特徴はタンニンはあまり抽出せずに、色素だけを抽出する事です。 したがって、このマセラシオン・カルボニックで醸造されたワインは、渋みの少ない、若いうちでも美味しく飲めるワインとなるのです。
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