秋も近づいて来て、涼しくはなっているけど、まだまだ夏の疲れが抜けない時、そん な時はアルザスワインが恋しくなってきませんか? なぜか私はアルザスといえば、夏の終わり、秋のはじまりというイメージを持ってしま います。もう少し秋も深まれば、実りの秋のブルゴーニュというところですが、という わけで、今回はアルザスワインを研究してみたいと思います。しかし、アルザスワイン もとても奥の深い世界ですので、とても一回だけで研究できるわけでもなく、また折を みて何回も研究する事になりそうですが・・・。 ◆地理的条件 フランスの地図を広げるとアルザスはパリやシャンパーニュとほぼ同緯度にある フランス最北のワイン産地です。しかし、地理的条件のため気候にはとても恵まれ た地域で、乾燥した長い夏は充分に葡萄を熟する事ができます。 また、お隣のドイツの国境近くにあるため、二次大戦まではドイツ領だったこと もあり、葡萄の品種もリースリングなどのドイツで主流の品種を多く栽培していま す。 しかし、アルザスのワイン造りに対する考え方はドイツワインとは対照的で、ド イツワインの最高峰がトロッケンベーレンアウスレーゼやアイスヴァインなどに代 表される高級デザートワインを目指しているのに対して、アルザスでは、そういう ものもある事はありますが、ほとんどが、しっかりした酸味と味わいを持った濃厚 な味付けにも充分対抗できるような食中酒を目指して作られています。 ◆AOC AOC、すなわちアペラシオン・オリジネ・コントローレ(原産地呼称法)は良質な ものはより限定された地域での呼び名をつける事になっています、例えばAOCブルゴ ーニュよりもAOCピュリニーモンラッシェ(村名)さらにはシュバリエ・モンラッシ ェ(畑名)というように、小さな限定された地域のAOCはより大きなAOCのより上の 位置づけをされています。しかし、ここアルザスとシャンパーニュだけは例外的扱 いで、アルザスと認定されている地域はAOCではすべて平等の扱いをうけることにな ります、つまりアルザスには特別なAOCは存在ません。したがってシャンパンやドイ ツワインと同様、作り手とその作り手の作るクラス、例えば収穫をぎりぎりまで遅 らせて完熟した葡萄のみを使って作られるヴァンダンジュ・タルディブ(VT)や極 甘口貴腐ワインであるセレクション・グラン・ノーブル(SGT)のクラスや葡萄品種 によって味を判断します。 ◆近年のヴィンテージ 98年・・・非常に複雑な天候で良いものとそうでないものが混在しています。 9月の雨のためピノ・グリは収穫を早めざるを得なかった畑が多数あり、10 月後半からは再び雨がちな天候になったため遅摘みのVTやSGTなどは収穫量 が少なかったようです、しかし、中には今世紀最高のSGTが出来たというと ころもありました。 97年・・・収穫時は晴天が続き、気温も上がったので、糖度は上昇したものの酸がさ がってしまったものが多くあったようです。 96年・・・収穫時、天候に恵まれたことと、夜間の気温が低かった事で、糖分、酸と もに申し分なく、特に辛口タイプのものは良い年になりました。 95年・・・遅く収穫したものは良好 94年・・・9月が長雨にみまわれ、10月の初めまで我慢した生産者だけが、最良のワイ ンを作りました。上物意外はあまり期待できないかもしれません。 93年・・・前半は理想的な天候に恵まれ、非常に質の高いワインが出来ました、ただ し、9月後半に雨に見回れ、遅摘みの葡萄の生産量は少ないです。雨をぬっ ての収穫となりました。現在飲み頃を迎えています。 92年・・・理想的な天候で終始し、非常に美味しいワインが出来ました、やや酸がひ かえめなので、極上モノ以外はすぐに飲んでしまったほうが良いようです 91年・・・3年続いての干ばつのあおり、8月の雹、9月の長雨でさんざんなヴィンテー ジでした、グラン・クリュ、貴腐以外を飲むのは賭け。 90年・・・冷夏が災いして収穫量は少ない年でしたが、質の点では傑作年の一つです その他、89、88、86、83、81、76、71、67、64、61、59、52、49、47、45、37、21が傑作 年と言われています。 著名な生産者 アルザスは大小たくさんの生産者がいますが、その中でも有名な生産者は、ジョス・ メイヤー、ヒューゲル、ドップ・オ・ムーラン、レオン・ベイエール、マルセル・ダイ ス、マルク・クライドゥンヴァイス、アルベール・マヌ、ミュレ(クロ・サン=ランドラ ン、ロリ=ガスマヌ、ドメーヌ・ショフィット、ドメーヌ・シュルンベルジェ、ドメー ヌ・トリンバック、シャルル・シュルレ、クゥエンツ=バ、ドメーヌ・ヴァインバック 、ジント・フムブレヒトらです。 |