こんにちは、みなさん、飲んでますか? 今回はまだ、創刊して日が浅いうちに基本的な研究とかをやってみたいとおもいます ので、もうすでに「そんな事は百も承知の助」という方は読み飛ばしてくださいませ。 もちろん私はワインメーカーではありませんので、本当に実際のところはわかりませ ん、ただ、見たり聞いたり読んだりした事を出来るだけ理論的にまとめていきたいと思 っています。 〜赤ワインの製法〜 ◆ぶどうの収穫 本当は土を作り、ぶどうを育てるところからワイン造りは始まっているのでしょ うが、今回は収穫だけのお話です。 木なっている葡萄の成分は当然時間によって色々な変化をします。長い時間の単 位でもそうですし、一日のうちでも、また、天候によっても当然変化が考えられま す。 ワイン造りをする人たちにとって、そうした葡萄の状態を読む事が、大切な事で す、ただ単に果汁の糖分が多ければよいというものでもなく、酸も大切な要素の一 つですので、それは非常に難しい選択になると思います。 収穫時期に関しても、畑の微妙な立地や品種の違い台木の違いなどによっても異 なってきますので、名人と言われる人の真似をすれば、ベストな収穫の時期である ということもないようです。 また、植物は日中に糖分を作り、夜間に糖分を消費する事から、最も糖分の高い 葡萄を得る為に夜間に収穫をする人もいるます。(ナイトハーベスト) 基本的に農作物は一日の寒暖の差の激しい場所、夜間の冷え込みが強い場所の方 が、良いとされています。 それは夜間の冷え込みが植物の代謝を鈍らせて、光合成をしない夜に無駄なエネ ルギーの浪費を減らす事が出来るからで、ほとんどの農作物に言えることです。 しかし、一方では「シャトー・ヌフ・デュ・パフ」や一部のボルドー地方などの ように大きな石がごろごろしていて、その石が昼間に熱を蓄え、夜の冷え込みを抑 えるような作用をする寒暖の差の少ない場所で良いワインが造られているという事 実もあります。シャトー・ヌフ・デュパフなどでは、白葡萄など酸の高い品種の葡 萄をブレンドして味を整えています。 白い石による反射光の利用という事を考えている人もいますし、過度の光を嫌って 、石を枯れ葉で隠してしまう人もいます。 ワイン造りはいろいろです。 ◆手摘みと機械摘み さて摘み取りの方法ですが、これも人手で摘み取る方法と機械で摘み取る方法が あります、ある程度高級なワインであれば、人手でよい葡萄だけを選択して摘み取 っても採算が合いますが、大量消費用の安いワインでそんな事をしていたら合わな い場合も当然でてきます、以前ドイツのラインヘッセンに行った時は葡萄を上から コの字型に挟み込んでタイヤの付いた洗車機のように葡萄を収穫する機械を見まし た。 まあ、このような機械が使えるのは平野部だけでしょうけど、なかなか迫力のあ るものです。もちろん品質を考えるのであれば、手摘みの方が良いに決まっていま す(少なくとも現在のところは)が・・・・。 手で収穫するワイナリーはその時だけ多量の人員を必要としますので、ボルドー などではその時だけ色々な人たちを雇うのが習わしになっています。ジプシーやダ ンサーETC。このあたりの詳しい事は「メドック 至高のワインづくり」草思社に書 いていますので、興味のある人は呼んでください、すごく面白い本です! ◆発酵 (破砕・除梗) 収穫した葡萄は破砕機と除梗機にかけられ、破砕され実と梗が分けられます、こ れを除梗といいます、除かれた梗の一部は、ワインに力強さを与えるために発酵タ ンクに戻され、葡萄の果皮についた野生酵母により、発酵が始まります。この時、 硫黄が燃やされ、酵母以外の菌の発酵が抑えられますが、このあたりは前号を参照 してください。 発酵タンクは昔は木製の発酵タンクを使っておりましたが、現在ではコンクリー ト、ステンレス、スチールの内側をエナメルやホーロー張りにしたものが使われて います。(まだ、木製のものを使っている醸造家もいますが・・・) また、ほとんどの発酵槽は開放型ですが、中には密閉型にこだわる醸造家もいま す、 ボルドーのシャトー パルメなんかはには80年間使っている木製の発酵桶が ありました。 発酵中、果帽(シャボー)と呼ばれる果皮が表面に固まったものが出来ますが、 これを発酵中に木製の棒で突っ突いて果汁との接触を良くしますが、中には昔なが らのように人がそのまま中に入って掻き混ぜる場合もあります。現在では、ポンプ で発酵槽の底の方の果汁を表面に汲み出す「ル・モンタージュ」という事もしてい ますが、これも同じ作用をする行程です。 赤ワインの色素とタンニンの大半はこの果皮に含まれているのですから、これは 赤ワインにとって大切な行程です。 ◆糖分添加(シャプタリゼーション) ワインをある程度のアルコール度数にするための糖分が果汁に不足する時があり ます、これは天候の悪い時や日照時間の短い場所などの場合に起こりますが、AOCワ インの場合地域や年によってし人工的に糖分を添加する事が認められます、これを シャプタリゼーションと呼び、先程の攪拌時に補糖をします。 逆に日照が良すぎる場合には糖分は充分なのですが、酸が不足する場合があり、 この場合は、補酸が認められる場合があります、「シャトー・ヌフ・デュ・パフ」 などで白葡萄が赤に少量使われるのは、酸を補うという意味があるのです。 ◆発酵期間 赤ワインの発酵期間は醸造家やその年の出来によって様々ですがだいたい8日〜14 日間ぐらいの間です。 色素はだいたい最初の3,4日で出てしまうのですが、タンニンの抽出はその後もず っと続きますので、発酵期間を長く取るとそれだけ多量のタンニンが抽出できると いうことになります。 また、年によってあまり出来の良くない場合は、ワインの品質を引き上げる為に 発酵期間中に果汁をある程度抜き取るという事をします。こうすることによって着 色を良くし、ワインにボディが増しますが、最終的な生産量は当然減ります。 抜き取られた果汁はそのままロゼとして発酵して、AC資格のないワインとして出 荷されます。("血抜き"とも言われます) ◆フリーランワインとプレスワイン 発酵が終了すると新しいワインを発酵槽から抜き取ります、これをフリーランワ インと呼びます、残った果皮と種はさらに圧搾機にかけられ搾られます、これをプ レスワインと呼びます。 圧搾により、種や皮含まれる残りのタンニンも抽出されますので、プレスワインは かなりタニックなものだと想像できます、(どのくらいの圧で搾るかにもよります が) プレスワインはワインにタンニンと力強さを与えます、醸造者はそれぞれの考え に基づいて、このプレスワインとフリーランワインのブレンド比率を決めます。 圧搾した後の滓は後で蒸留されて"マール"と呼ばれるブランデーになります。 ◆マロラクティック発酵 こうしてアルコール発酵の終わったワインは発酵槽か、樽に入れられてマロラク ティック発酵が行われます。 これは乳酸菌による発酵で、ワインの中のリンゴ酸が乳酸菌によって乳酸と炭酸 ガスに変化させるものです、このマロラクティック発酵により、赤ワインの酸はソ フトになると同時にタンニンもまろやかになります。また、瓶内二次発酵を防ぐ意 味もあります。 このマロラクティック発酵の時から樽に入れると樽の香りがつきすぎる事が防止 されるとも言われています。 ◆熟成 さて、そのご、ワインは樽に詰められ熟成されます、この時どの程度、新樽を使 用するか? またどの産地の樽を使うかで、出来上がるワインの味わいに影響がで ます。 一般には力強い当たり年のワインは新樽の使用率を高くし、果実の風味の弱いオ フヴィンテージのワインは樽の風味に負けてしまうので、新樽の使用率を少なくし ますが、これも醸造家の考え方次第で、絶対ではありません。しかも、新樽は収穫 期の前から発注しければならないという事情もあり、なかなか難しいところです。 ◆澱引き これは熟成期間中に樽の中に溜った澱とワインを分離する作業です。これはワイ ンを樽から樽へ移す事で行います、こうすると樽の底に澱を残してワインを次の樽 に移すので澱とワインを分離す事が出来ます。しかし、やりすぎるとワインが疲れ てしまうので、最近では回数を少なくする傾向があるようです。 ◆ワインの補充 こうした熟成中の澱引きや蒸発でワインはどうしても目減りしてしまいます。樽 の中の空間が大きくなると酸化が進んでしまうので、定期的にワインを足してやら なければいけません。もちろん基本的に同じワインを使います。 ◆清澄・濾過・瓶詰 ワインを澄んだものにするために、卵白、カゼイン(ミルクのタンパク質)ベン トナイト(火山灰系の粘土)、その他、などが使われます。 これらの物質はワインの中の浮遊物を凝固させて沈殿する働きがありますので、 澄んだワインを取り出すことができるのです。 この後、ワインは濾過されて瓶詰されますが、醸造者によっては濾過によってワ インの風味が損なわれてしまうと考え、濾過しない場合もあります。 こうして、清澄されたワインは一つのタンクに集められ、樽ごとの差をなくして 上で瓶詰されます。ボルドーを代表とするような複数の品種をブレンドする手法を 取っている場合はこの時点で醸造者の判断でブレンドします、ここで、自分の銘柄 に値しないとして、使われなかったワインが、セカンドラベルとして出荷されたり するのです。 そして、コルクを打って完了です。コルクは長い熟成に耐えるものほど長い物が 使われます、だから、コルクの長さでだいたいそのワインが長命か短命かがわかる わけです。(もちろん絶対ではないですが・・・) 後はこのままラベルを張って出荷されるか、瓶熟成されます。 |