「ワインの酸化防止剤」

 ワインに使われている酸化防止剤について質問がありましたので、今回はこ
れをテーマにして研究していきたいと思います。
 そもそも、ワインに使われている酸化防止剤とは亜硫酸塩と呼ばれているも
ので、これは硫黄を燃やした時にでるものです。
 時たま、ワインから硫黄の匂いが出るのはこの亜硫酸塩を入れ過ぎたためで
す。
 硫黄を燃やして消毒につかうのは太古の昔から行われてきた方法で、これは
別に人体に害のあるものではありません。しかし、なぜわざわざこんな事をし
ないといけないのか調べていきましょう。
 ワインの醸造過程は日本酒に比べると非常にシンプルです。
 収穫してきた葡萄をつぶしてジュースにし、葡萄の皮を入れてると発酵が始
まります。
葡萄の皮についた野生酵母が働いて発酵するのです、しかし、葡萄の皮につ
いているのは酵母ばかりではありません。当然様々なバクテリアや細菌もつい
ているのです。 したがって当然、葡萄をつぶしてそのまま放置すればかなら
ずワインになるとは限りません、乳酸菌などはアルコール発酵の後のマロラク
ティック発酵(乳酸発酵)では乳酸菌はリンゴ酸を食べて、乳酸を出してくれ
るので、ワインの酸がまろやかになり、味を整えるのに必要ですが、乳酸菌が
食べるのはりんご酸だけではなく酵母菌と同じように糖分も食べてしまいま
す。
 これらの酵母以外の微生物の働きを抑制するために硫黄を燃やし、亜硫酸塩
を加えるのです。従って、亜硫酸塩を使わずにワインを造るというのは水を使
わずに水彩画を書くようなもので、決して品質のために良いことではないので
す。
 なお、ワインの醸造についてシンプルと記述ししまたが、これは単に醸造行
程が単純というだけで、簡単というわけではけっしてありません、ワインの場
合は、畑から始まりますので、土地の選択、耕作方法、葡萄品種の選択、台木
の選択、剪定、収穫時期、醸造が終わってからも、樽の選択、樽熟期間、ブレ
ンド比率などの様々な技術的関門があります。
 これらの事についてはまた、日を改めて、研究する事にしましょう。