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加古川唯一の小さな酒蔵

岡田本家

　昔は十数軒の酒蔵が軒を並べていたという加古川市も現在では、この合名会社岡田本家一軒のみとなってしまったと言います。
　岡田本家は明治7年に創業、明治の大典に因んで『盛典』（せいてん）という銘柄で販売を開始しましたが、戦後は自社銘柄の販売を一次中断し、灘の大手の酒蔵に酒を供給する桶売りで専門になっていました、しかし、清酒需要の減少と大手の一括生産体制への移行により、桶売り需要が無くなり、少量高品質生産体制に大変革する事を決意、新体制で『盛典』の販売を再開しました。
　再開当時は最初はなんと一人で酒造りをしていたという代表の岡田洋一さん。
　酒造スペースは、ワンフロアの鉄骨建築。
　その中には様々な工夫がなされています。
　米洗は10キロ単位で小型の精米機を使い、小型の蒸し器で蒸され、今は廃業した灘の泉勇之介商店より譲り受けたという放冷機によって放冷、断熱パネルで囲われた麹室で麹を造り、人一人入れるくらいの押入れサイズの酒母室で大型の寸胴くらいのタンクで酒母が醸されます。


超コンパクトな酒母室
　醸造は小さな6つのジャケットタンクで順番に行われ、超コンパクトな薮田式搾り機で搾られ、搾ったお酒は一旦、貯蔵用のジャケットタンクで澱を落としてすぐに瓶詰めされます。

ジャケットタンク

ヤブタ式搾り機

　現在では、洋一さんの師匠にあたる方に杜氏が杜氏に就任し、洋一さんはオーナー兼蔵人として二人三脚で酒造りをしています。

　使用酵母は協会9号を中心に様々な酵母をブレンドして作っているとの事、盛典のユニークで美味しいお酒の所以の一つかもしれません。